納品と保守の手引き
納品と保守の手引きおまかせサイト工房 / 特典
LP・サイト制作者のための実務ガイド

作ったサイトを、
世に出し、守る。

依頼からヒアリング、公開(納品)、そして保守運用まで。「どう作るか」の先にある「どう届け、どう守り続けるか」を、基礎の用語から実務の判断・進め方・契約までまとめた一冊です。特定のツールに肩入れせず、中立に比較します。

仕上げて、手渡すカラフルなWebページをペンで仕上げる机。麦色の納品箱に珊瑚色のリボン。植物、マグ、紙を添えた温かい制作風景。 site

01 全体像 — 制作の進め方

基本は「依頼 → ヒアリング → 設計・制作 → テスト → 納品」。

人や案件で中身は変わりますが、骨格は共通です。公開(納品)と保守運用までを一本の流れとして見ると、どこで何を決めておくべきかが分かります。

制作から保守までの8ステップ01 依頼・相談、02 ヒアリング、03 設計・構成、04 デザイン、05 制作、06 テスト・検収、07 納品・公開、08 保守・運用。 01依頼・相談02ヒアリング03設計・構成04デザイン05制作06テスト・検収07納品・公開08保守・運用
図 01 制作の8工程。①〜⑥で「作り」、⑦で「世に出し」、⑧で「守り続ける」。
  1. 依頼・相談— 目的・予算・納期をざっくり確認し、対応可否と概算を返す。
  2. ヒアリング・要件確認— 目的/ターゲット/ゴール/素材/ドメイン有無を固める(→ 02章)。
  3. 見積・契約— 作業範囲・ページ数・修正回数・納期・支払・権利の帰属を文書化。
  4. 設計— 構成(サイトマップ)とワイヤー、原稿骨子。LPは「ファーストビュー→ベネフィット→証拠→CTA」の縦構成。
  5. デザイン— カンプ(PC/スマホ)、トンマナ、使用フォント・写真・アイコンのライセンス確認。
  6. 制作(実装)— レスポンシブなコーディング、フォーム、計測タグ。公開前のステージングで確認。
  7. テスト・検収— 要件と1項目ずつ突き合わせ、崩れ・リンク・フォームを確認して合意(→ 07章)。
  8. 納品・公開— 本番へ公開、DNS切替、SSL確認、解析・サーチコンソール登録、納品物一式を引き渡し(→ 06章)。
  9. 保守・運用— 更新・バックアップ・SSL/ドメイン/サーバー管理・障害対応(→ 08章)。
ここが肝心

「公開」と「保守」を最初の見積で地続きに考える。公開方法(03章)と名義(04章)を先に決めておくと、あとで「誰も直せない/引き継げない」という事故を防げます。


02 ヒアリングでそろえること

発注者が「決め切る核」は4つ。

サイトの目的とKPI・対象読者・掲載情報の範囲・更新体制。ここが曖昧なまま進むと、後工程のやり直しと追加費用トラブルの原因になります。丸投げにさせず、ヒアリングで引き出すのが要です。

事業・目的

  • サイト/LPの目的と「成功の定義(KPI・ゴール)」
  • 想定コンバージョン(購入・予約・資料請求・電話・LINE登録)とCTAの内容
  • ターゲット(年齢・地域・課題・PC主体かスマホ主体か)
  • 競合・参考サイト(良い例/悪い例と理由)、希望トンマナ

コンテンツ・素材

  • 原稿は誰が用意するか(支給/こちらでライティング)
  • 写真・ロゴ・図版の有無と形式。どこで手に入れたもので、使ってよい許可があるか(=入手経路と権利)も確認
  • 必要ページ・セクション、フォーム項目、必要機能(予約・決済・多言語・ブログ)

インフラ・権利

  • 独自ドメインの有無(新規取得か既存か)、取りたい文字列
  • サーバーの有無、現行サイトの有無(新規かリニューアルか)
  • 名義は誰にするか(原則お客さん名義 → 04・06章)
  • 既存のアナリティクス/サーチコンソール/広告アカウントの有無

進行・条件

  • 希望納期・公開希望日、繁忙期
  • 予算レンジ(広告運用予定があれば月額広告費も)
  • 更新頻度の見込み(公開後どれくらい触るか=保守設計に直結)
  • 連絡手段・レスポンス速度の期待値、決裁者は誰か

03 公開・納品の方法

作ったサイトを公開する「9つの方式」。

公開方法は「誰が今後直すか」「商用で使えるか」「いくらかかるか」で選びます。まず最初に、見落としやすい商用利用のルールから。

最重要 — 無料枠の商用利用

お客さんのビジネスサイト/LPを受託して納品するのは「商用利用」です。無料プランでも規約で扱いが分かれます。

  • Vercel(Hobby)… 商用NG。「制作・更新・ホスティングの対価を受け取る」と商用扱い → 有料Pro(月$20)が必要。
  • GitHub Pages … 商用に制限。EC・商用取引が主目的のサイト、商用SaaSは禁止。
  • Cloudflare Pages … 商用OK(禁止条項なし・帯域無料無制限)。
  • Netlify … 商用OK(無料Freeでも制限記述なし)。

※ Cloudflare/Netlify の「商用可」は禁止条項が無いことの確認です。規約は改定されるため、発注前に各公式で最新を確認してください。

Ⅰ

自分のサーバーに置く

レンタルサーバー + FTP/SFTP 商用OK 引き継ぎ◎

サーバーを借り、独自ドメイン・無料SSLを設定し、FTPソフトでファイルを上げて公開。もっとも王道で情報も多い。

費用
月 500〜1,000円前後+ドメイン代(年 1,000〜2,000円)。エックスサーバー/ロリポップ/さくら/ConoHa WING など。
独自ドメイン
可/SSL無料(全プラン)
誰が直せる
ログイン情報を渡せばお客さんも他業者も可。ロックインなし・移行自由。
向く/不向き
商用全般・将来の引き継ぎを見据える案件に◎/保守する人がいない案件には△。

WordPress(レンタルサーバー+WP) 商用OK CMSが要るとき

お知らせ・ブログをお客さん自身で更新したい(CMSが要る)とき向けのオプション。静的なLPだけなら過剰です。「かんたんセットアップ」でドメイン・SSL・WPを一括構築でき、管理画面から記事を更新できます。

費用
月 1,000円前後+ドメイン代。マネージド版(WordPress.com)は自由に使うなら Business 月$25 相当。
誰が直せる
管理画面を渡せばお客さん・他業者とも更新可。対応業者が最多。
注意
本体・テーマ・プラグインの更新とセキュリティ保守が必須。担い手を契約で明確に。
向く/不向き
ブログ・お知らせをお客さんが回す案件に◎/ごく小さな静的LPには重い。
Ⅱ

Gitから自動で公開する

Cloudflare Pages 商用OK 無料

Wrangler CLI で直接公開でき、GitHubは必須ではありません。GitHub連携にすると push で自動デプロイになって楽。AI制作と相性が良く、近年の定番。

費用
静的サイトは実質0円(帯域無料・無制限)。独自ドメイン代のみ。
独自ドメイン
可/SSL自動
誰が直せる
Cloudflareアカウントの管理が前提。CLIで公開でき、GitHub連携なら自動化も可能。お客さんが触るにはCLI/Gitの知識が要る。引き継ぎはプロジェクト移譲(GitHub連携時はリポジトリ移管も)。
向く/不向き
制作者が保守も続ける静的LP・高速大量アクセスに◎/非エンジニアの自己更新には△。

Netlify 商用OK 無料〜

Git連携のほかフォルダのドラッグ&ドロップでも公開できる手軽さ。サイト単位の所有権移管も可能。

費用
Free $0(独自ドメイン+SSL込み)/ Pro 月$20。
誰が直せる
D&D公開ができ、Cloudflare/Vercelより柔軟。お客さんのアカウントへ渡しやすい。
向く/不向き
商用の静的・Jamstack LPを無料〜低コストで、引き継ぎも柔軟に。

Vercel

Next.js など最新フレームワークに強い。push で自動デプロイ。

費用
Hobby無料(非商用のみ)/ Pro 月$20・seat。
誰が直せる
基本Git経由。お客さんのGUI更新は限定的。
向く/不向き
モダンFWのLP(商用はPro前提)に◎/無料で商用納品は規約違反。

GitHub Pages 商用制限 無料

リポジトリをそのまま公開。Git運用が前提。

費用
無料(1GB・帯域ソフト100GB/月)。
誰が直せる
お客さんのGitHubへ移管すれば引き継ぎ完結。Git扱えるなら素直。
向く/不向き
非商用・技術系・ドキュメント・ポートフォリオに◎/物販・決済・商用ビジネスサイトは不可。
Ⅲ

ノーコードで作って公開する

STUDIO お客さん更新◎

国産ノーコード。デザイン自由度が高く、公開ボタンで即配信。

費用
Free ¥0(バナー表示)/ Mini ¥590〜(独自ドメイン可)/ Business ¥3,980〜。
誰が直せる
編集メンバー招待やオーナー移管でお客さんが更新可。CMSの記事だけお客さん更新も設計できる。
向く/不向き
デザイン性の高い企業サイト・LP、顧客の記事更新に◎/本格ECやコード書き出しには△。

ペライチ お客さん更新◎◎

国産。もっとも直感的にお客さんが自己更新しやすい。予約・決済・メルマガも。

費用
Free ¥0(1ページ・広告)/ ライト ¥1,628〜(独自ドメイン可)。
誰が直せる
お客さんの自己更新が最も簡単。アカウント移譲も可。
向く/不向き
お客さんが手軽に運用したい小規模サイトに◎/デザイン自由度・大規模は不向き。

Wix / Jimdo / Framer

海外系の総合ビルダー。お客さんのGUI更新は楽。Wix・Framerはエクスポート不可=他業者へ移せない。

費用
Wix Light $17〜/ Jimdo START ¥1,290〜/ Framer Basic $10〜。無料は広告・サブドメイン。
誰が直せる
お客さん更新はしやすいが、Wix/Framerは乗り換え時は作り直し。Jimdoはブロック編集・EC向き。
向く/不向き
デザイン/アニメ重視(Framer)・ECも(Wix/Jimdo)◎/将来の引き継ぎ・コード持ち出しには△。
Ⅳ

AIで作って公開する

Readdy

プロンプトからAIがサイト/LPを生成。編集・コード書き出し・独自ドメイン公開に対応。AIに慣れた人には最速。

費用
無料 $0(書き出し・独自ドメイン不可)/ スターター $15〜(独自ドメイン1つ・書き出し可)。
誰が直せる
プロジェクトは制作者アカウント依存。ノーコードのお客さん更新には不向きだが、コードを書き出して納品すれば別環境で保守可。
向く/不向き
制作者がAIでLPを素早く量産→コード納品に◎/非エンジニアお客さんの自己更新には△。

一覧で比べる

主要な公開方式の比較(料金・規約は2026年10月時点の目安/為替 1ドル≒150円)
方式費用の目安商用独自ドメイン誰が直せる/引き継ぎ
レンタルサーバー+FTP月500〜1,000円+ドメイン可可/SSL無料お客さん・他業者とも可。移行自由(◎)
WordPress(自前)月1,000円前後+ドメイン可可/SSL無料管理画面で誰でも可。要保守(◎)
Cloudflare Pages(+GitHub)実質0円+ドメイン可可/SSL自動CLIで公開可。GitHub連携で自動化・移管で引き継ぎ
NetlifyFree $0 / Pro $20可可/SSL自動D&D可・サイト移管◎
VercelHobby $0 / Pro $20無料NG/Pro可可/SSL自動Git前提。お客さん更新は限定
GitHub Pages無料制限可/SSL無料Git前提。移管で完結
STUDIO¥0 / Mini ¥590〜有料でMini以上招待・移管でお客さん更新(◎)
ペライチ¥0 / ライト ¥1,628〜可ライト以上お客さんの自己更新が最易(◎◎)
Readdy$0 / スターター $15〜有料でスターター以上書き出し納品すれば別環境で保守可

引き継ぎやすさ(ロックインの少なさ):レンタルサーバー+WP > WordPress.com > Cloudflare/Netlify/GitHub Pages(Git前提)> Readdy(書き出し時)。Wix・Framer はエクスポート不可で、GUI更新は楽でも外部へ持ち出せません。


04 ドメインとサーバーのしくみ

「住所(ドメイン)」と「置き場所(サーバー)」。

Webサイトは、ドメイン=住所、サーバー=建物(置き場所)、DNS=住所から場所への案内、SSL=通信の鍵(https)でできています。この4つの関係と「名義」を押さえると、公開も引き継ぎも迷いません。

ドメインとサーバーのしくみ訪問者がexample.comを入力し、DNSの住所案内でサーバーに接続すると、ブラウザにサイトが表示される。ドメインは住所、サーバーは置き場所、SSLは暗号化。 ドメインとサーバーのしくみexample.com訪問者DNS(住所案内)サーバー(置き場所)ブラウザに表示名義はお客さんがおすすめドメイン=住所(年契約)サーバー=土地・置き場所(月契約)SSL=鍵マークで暗号化(https)
図 02 訪問者 → DNS(住所案内)→ サーバー(置き場所)→ 表示。ドメインは年契約、サーバーは月契約、SSLで暗号化。
名義のルール

ドメインもサーバーも「お客さんの名義で契約」が最も安全です。制作者名義のままだと、制作者が廃業・連絡途絶すると更新が止まり、ドメイン失効 → 第三者に取得という最悪が起こり得ます。制作者は「管理代行(権限をもらって運用)」の形が理想。立て替え契約するなら、いつでも移管できる状態にし、契約書に「求めに応じ移管に協力する」と明記します。


05 実運用で選ぶ

公開方法フローチャート。

迷ったら「公開後、だれが更新するか」から下りていきます。費用やデザイン以上に、実運用(誰が保守し、誰が触り、どう引き継ぐか)が方式を決めます。

公開方法の選び方 — 実運用で考える誰が更新するかを3つの枝で判断する公開方法フローチャート。制作者は青、お客さんは麦、他業者は緑。商用OKは緑、有料で可は麦、注意は赤。 公開方法の選び方 — 実運用で考える公開後、サイトは だれが更新する?制作者が保守を続けるどう公開したい?無料・商用OKの静的サイトCloudflare Pages+ GitHub / Netlify※Vercel無料は商用NGWordPressでブログも回すレンタルサーバー+ WordPress¥AIで素早く作るReaddy(コード書き出して納品も可)お客さんも自分で更新したいコードは触れる?触れない / 直感操作がいいペライチ / STUDIO / Jimdo(ノーコード)お知らせ・記事が中心WordPress(管理画面を渡す)/ STUDIO CMS将来、他業者へ引き継ぐ可能性が高いレンタルサーバー + 独自ドメイン(標準構成・名義はお客さん)Wix / Framer はエクスポート不可=引き継ぎ×独自ドメイン・サーバーの名義は “お客さん” に。無料ツールは『商用可否』と『乗り換え可否』を必ず確認。
図 03 実運用で選ぶ意思決定フロー。独自ドメイン・サーバーの名義は必ずお客さんに。

誰が直せるかで決まる

納品後、だれが直せる?制作者は青、お客さんは麦、他業者は緑。左は制作者だけ、中はお客さんも、右は他業者にも引き継げる。淡色と点線は触りにくさを示す。 納品後、だれが直せる?実線:直せる 点線:触りにくい制作者だけ制作者お客さん他業者Cloudflare / Vercel /GitHub系お客さんも直せる制作者お客さん他業者ノーコード:STUDIO / ペライチ / Jimdo他業者にも引き継げる制作者お客さん他業者標準構成:レンタルサーバー+ WordPress / 独自ドメイン引き継ぎやすさ = ロックインの少なさ
図 04 「直せる人」の広さ=ロックインの少なさ。広いほど引き継ぎで困りません。

ケース別のおすすめ

① 制作者が保守も続ける
Cloudflare Pages + GitHub
静的・無料・商用OK・帯域無制限。モダンFWの商用なら Vercel Pro/Netlify。WP案件はレンタルサーバー+WP。
② お客さんも触りたい
ペライチ / STUDIO
最も簡単な自己更新。EC込みなら Wix/Jimdo。WP管理画面を渡す手も引き継ぎ自由。
③ 予算を最小に
Cloudflare Pages / Netlify Free
商用クリアで完全無料(静的)。CMS付きで安くは ペライチ・STUDIO・Jimdo の無料〜最安(広告・サブドメイン)。
④ 更新が頻繁に入る
WordPress / STUDIO CMS
お客さんが記事を回すなら。制作者がコードで頻繁更新なら Cloudflare/Netlify の自動デプロイ。

06 納品物と権利の引き渡し

「公開して終わり」にしない。

納品物・権利・アカウントをきちんと渡すことが、後任が困らない納品です。

納品物の一覧(例)

区分具体物備考
公開サイト公開URL・本番で動くサイト一式最終成果物
ソースHTML/CSS/JS、WPテーマ、DBソース納品の有無は契約で明示
デザイン元データFigma/PSD/AI、ロゴのai/svg「元データ込みか」を明記
画像素材使用画像・バナー・favicon・OGPライセンス情報も添付
ドキュメント更新手順・使用プラグイン・素材ライセンス一覧引き継ぎ性を担保
アカウントサーバー・ドメイン・CMS・解析・フォームのID/PW安全な受け渡しを(下記)

著作権はひと言で渡らない

Webデザイン・コードの著作権は作った側に自動で発生します。費用を払っただけでは発注者に移りません。お客さんが将来自由に改変・転用するなら、譲渡契約に「第27条(翻案権等)・第28条(二次的著作物の利用権)を含む」と特掲する必要があります(書かないと制作者に留保されたと推定)。あわせて著作者人格権の不行使特約が一般的です。

フォント・写真・アイコンのライセンス

使用した素材の名称+ライセンス種別+取得元URL+有効期限を一覧にして納品します。Webフォント(Adobe Fonts等)は契約者に紐づくことがあり、お客さん側でも有効かを確認。入手経路が不明な素材は使わない(支給素材でも権利問題は解消しません)。

アカウントの安全な受け渡し

  • 平文メール1通で送らない(パスワード管理ツールの共有、別便・別チャネルで)
  • 担当者個人のメール名義に依存しない。会社として複数人で管理できる構成に
  • 解析・広告は「所有者=お客さん、制作者=編集権限」で入る(離脱時に困らない)

07 検収・公開前チェック

要件と1項目ずつ突き合わせる。

「動くはず」で公開しない。下の観点を一つずつ確認し、お客さんの合意(書面・メール)を残します。

分類確認すること
表示・崩れ文字のはみ出し/改行崩れ、余白、画像の縦横比
レスポンシブスマホ/タブレット/PCで崩れなし、タップ領域、横スクロールが出ない
ブラウザChrome/Safari/Edge/iOS Safari/Android Chrome
リンク遷移先が正しい、リンク切れ(404)なし、外部リンクの挙動
フォーム送信できる、必須・入力チェック、自動返信、管理者通知の着信、サンクスページ
文章誤字脱字、社名・電話・住所・料金など事実情報、表記ゆれ
画像・速度画像の圧縮・最適化、表示速度(PageSpeed Insights)、遅延読み込み
SEO・計測title/meta description、OGP、favicon、alt、XMLサイトマップ、GA4・サーチコンソール発火
その他404ページ、301リダイレクト(リニューアル時)、noindex解除漏れ、SSL(https)、電話番号のtelリンク

08 保守・運用の考え方

「維持する保守」と「育てる運用」。

「保守」の中身は会社ごとにバラバラです。何をどこまでやるかを具体化してから金額を決めます。大きくは、安全に維持する保守と、成果を出すために育てる運用に分かれます。

保守・運用の全体像保守は安全に維持する仕事、運用は成果を育てる仕事。更新管理、バックアップ、監視、障害対応と、コンテンツ更新、分析、改善を対比。 保守=安全に“維持”する運用=成果を“育てる”サーバー/ドメイン/SSLの更新管理お知らせ・記事などの更新バックアップ(取得+復元確認)画像差し替え・バナーCMS・プラグイン更新/改ざん監視アクセス解析レポート表示崩れ・障害の一次対応SEO・改善
図 05 保守(維持)と運用(育てる)の全体像。契約で決めておくことは次の通り。

同じ月額でも「月2回まで」と「月10回まで」で中身は別物。金額の大小より「更新回数の上限」と「有償になる境目」で比較・設計します。サーバー・ドメイン代を保守費に含めるか実費請求かも先に決めます。

契約・見積で決めておく8項目

  1. 保守(維持)と運用(更新)の線引き(含む/含まない作業)
  2. 更新回数の上限と超過単価
  3. 軽微修正が有償になる境目(テキスト差し替えは無償/デザイン改変は有償 等)
  4. 対応時間・着手の目標時間(個人なら「◯営業日以内に着手」が現実的)
  5. 連絡手段・窓口・決裁者
  6. バックアップの頻度・保存世代・復元の範囲
  7. サーバー・ドメイン費を保守費に含むか実費請求か
  8. 契約期間・解約予告・解約時の引き継ぎ(データ・アカウント返却)

運用の基本(セキュリティ・速度・SEO)

  • セキュリティ:CMS/プラグインを最新に、ログイン強化(強固なPW・2段階認証)、改ざん監視
  • バックアップ:定期自動+作業前の手動。復元できるかまで確認(取るだけにしない)
  • SSL:https常時化、証明書の有効期限監視・自動更新、混在コンテンツなし
  • 表示速度:画像最適化(WebP・圧縮)、キャッシュ、Core Web Vitals を定点観測
  • SEO:title/meta・見出し構造、サイトマップ送信、GA4・サーチコンソールで監視、リンク切れ点検

09 トラブルを防ぐ勘どころ

もめ事は、技術より「言葉」から。

「言った・言わない」を防ぐ

要件定義書+見積書で範囲を固定し、打ち合わせは毎回議事録をメールで共有して承認を残す。ページ数・修正回数・原稿担当・対象外作業を文書に明記します。

修正の無限ループを防ぐ

依頼側は小修正〜全面作り直しまで同じ「修正」と呼びがち。制作側が修正の種類を分類して提示し、指示は文章で復唱+「修正◯回目」と番号を明示して記録。仕様変更は追加見積に回します。

制作者が離脱しても困らない設計

  • ドメイン・サーバー・各アカウントはお客さん名義・お客さん管理(最重要)
  • 資産の所在(登録者・契約者・ソース・各アカウント名義)を一覧化しておく
  • 属人的な独自実装を避け、標準的な構成で後任が引き継げるように

無料ツール依存のリスク

  • サービス終了・規約変更が事前通知なく起こり得る(規約に免責条項が入っていることも)
  • 無料プランは商用不可のことがある。公式規約で一次確認し、商用可のものだけ使う
  • データ移行性:エクスポート不可のツール(Wix/Framer等)は乗り換えで作り直しに。事業の顔は独自ドメイン+標準構成で

付録 そのまま使える最小セット

契約の前に、これだけは。

契約前に書面化する10項目
  1. 作業範囲(ページ・機能・原稿担当)
  2. 対象外の作業
  3. 修正回数と超過単価
  4. 納期・公開日
  5. 支払条件
  6. 著作権帰属(27条・28条特掲/人格権不行使)
  7. ドメイン/サーバー名義(お客さん名義)
  8. 納品物の定義(ソース・元データ含むか)
  9. 検収の方法と期限
  10. 保守契約の有無と範囲
保守契約で決める8項目
  1. 保守/運用の線引き
  2. 更新回数の上限と超過単価
  3. 軽微修正が有償になる境目
  4. 対応時間・着手の目標時間
  5. 連絡手段・窓口
  6. バックアップ頻度・復元範囲
  7. サーバー/ドメイン費の扱い
  8. 契約期間・解約予告・解約時引き継ぎ
サポートの受け方

公開後のサポートは月額の保守契約かスポット(単発)対応が主流です。制作者が保守も続けるなら、AIのサブスク+無料ホスティング(Cloudflare等)で費用を抑えられます。お客さんや他業者も触るなら、ノーコード(ペライチ・STUDIO)か、管理画面を渡せるレンタルサーバー+WordPress が無難です。